教室のホームページの作り方|自作と外注、180万円失敗した私の判断軸
教室・スクール業を運営する先生に、ぜひ知っておいてほしい失敗事例を1つ書きます。
5年契約のホームページ制作サービスで、180万円という大切な資金を無駄にした話です。同じ轍を踏まないでほしいので、何が起きて、どこで見落としていたのか、振り返って整理しました。
結論を先に言ってしまうと、契約から1年半後、私は「このHP、そもそも要らなかった」と気づきました。でも5年契約だったので途中解約はできず、残りの月数だけ毎月3万円が引き落とされていく日々でした。
そこから方向転換して、HPを自作に切り替え、月額千円台の運用に改めました。いまでは自作したHP経由が新規入会の約3割を占めています。
この記事では、私が痛い思いをしながら見つけた判断軸を、ピアノ・学習塾・英会話・スイミング・ヨガなどジャンルを問わず、個人教室・スクール業を運営する先生に向けて整理します。
伊藤啓太教室の相談室 運営者
愛知県犬山市で総合習い事スクール「Mutsumi Academy」を運営。2024年に赤字のピアノ教室を事業承継し、2年で生徒80名→250名(約3倍)・黒字化。ピアノ教室だけでなく、プログラミング・イラスト・英語の教室も立ち上げ、現在は4ジャンルの教室を運営しています。教室・スクール運営の経験を生かして、他の教室の運営支援を行っています。
- IT導入士
- DX学校 認定講師
- 商工会議所 IT専門家
- 私立幼稚園連盟 DX研修登壇
失敗から始める:HP制作で180万円
きっかけは、教室にやってきた訪問営業
教室を引き継いだ直後、HP制作会社の営業担当者が教室にやってきました。「教室業の集客はHPで決まる」「いまネット集客の仕組みを作っておかないと取り残される」——丁寧で熱意のある説明を受けて、私はその日のうちに契約してしまいました。
月額3万円・5年契約・合計180万円。HPの相場感を持っていなかった私は、「教室業に特化」「SEO込み」「写真撮影付き」というキーワードに惹かれて、自分でも納得しているつもりで判子を押しました。
結果として何が起きたか。
- 出来上がったHPは、確かに見栄えはよかった
- でも検索しても上位に出てこなかった
- 体験申込フォームはあるけれど、月に1〜2件
- 教室名や運営者名で検索した時だけ表示される
- 細かな修正は「制作会社へ依頼」で、対応が遅い
要は「綺麗だけど、来ない」HPでした。月3万円の固定費だけが、毎月引き落とされていく日々が続きました。
振り返って、本当の敗因はどこだったか
1年半が経って、私は気づきました。このHP、そもそも要らなかった。同じものを、いまの自分なら月千円台で作れる。代替手段は他にいくらでもあった。でも5年契約だから、途中解約はできない。残りの月数だけ毎月3万円が引き落とされていく——そう気づいた時の悔しさは、いまでも覚えています。
振り返ってみると、私の本当の敗因は2つあったと思っています。
敗因 1営業を受けたその場で決めてしまった
熱意のある営業を受けると、その場で決めたくなります。「いま決めないと損だ」というプレッシャー、提案された前向きな未来像、相手の時間への申し訳なさ。冷静に考える時間を1日でも置けば、別の選択肢が見えたはずでした。
敗因 2AI 時代の進化スピードを読みきれなかった
5年契約という長さの怖さは、契約直後はピンと来ません。けれど契約してからの1〜2年で、AIによるノーコードのHP制作ツールが一気に実用化しました。同じHPを、いまの自分なら数時間で作れる環境が揃っています。5年先の景色は誰にも読めない。だからこそ、長期契約は怖い。
教室・スクール業を運営する方への2つの教訓
この失敗から、私は同業の運営者に向けて、2つの教訓を持つようになりました。
教訓 1営業を受けたその日には、契約しない
どんなに熱意のある営業でも、最低1日は持ち帰って考える。家族・友人・同業の運営者に相談する。冷静になった翌朝にも「やっぱりやりたい」と思えたら契約する。この一手間だけで、失敗の半分は避けられます。
教訓 2動きの早い分野ほど、長期契約は避ける
ツールも技術も、1〜2年で景色がガラッと変わる時代です。5年契約は、その変化に身動きが取れなくなるリスクと表裏一体です。月額・年額の中途解約可能な形に整え、長くても1〜2年契約までを目安にすると、合わなかった時の逃げ場が確保できます。
ここまで読んで「自分も同じことをしているかも」と感じた方は、これから書く判断軸を読む前に、いまの契約状況を一度棚卸ししてみてください。
なぜ教室業にHPが必要か(実数で見る)
そう書くと「じゃあHPはいらないのでは?」と思うかもしれません。違います。教室業にこそ、HPは必要です。
私の教室では現在、新規入会の約3割がHP経由です。教室の前の看板(約15%)と、Googleマップ(約15%)と並んで、最も太い導線の1つになっています。
約3割
HP経由の入会比率
約15%
教室前の看板経由
約15%
Googleマップ経由
ただし「HPがあること」と「HPが効くこと」は別の話です。
教室を探す保護者や大人は、たいていこの順番で動いています。
- 検索する(「○○市 ピアノ教室」「英会話 子ども」など)
- Googleマップで近くの候補を見る
- 候補のHPを開く
- 教室の雰囲気・月謝・体験申込の方法を確認する
- 良さそうなら申し込む
このうち、3〜4の段階で「他より良いと判断してもらう」のがHPの役割です。SNSやチラシで知ってもらうのは入口、HPで決めてもらうのが詰め。
入口だけ作って詰めの準備をしないと、せっかく来てくれた人を取りこぼします。逆に詰めだけ立派にしても、入口(検索・SNS)がなければそもそも見られません。この記事では「詰めの部分のHP」をどう作るか、自作と外注で見ていきます。
自作 vs 外注 — 4つの判断軸
180万円の失敗以来、私は「自作 vs 外注」をシンプルな4つの軸で判断するようになりました。
軸 1修正を月に何回するか
教室のHPは、開講時間・料金・キャンペーン・空き枠など、月単位で更新したい情報がたくさんあります。月3回以上修正したいなら自作向き。月1回以下なら外注も視野に。
軸 2文章を自分で書けるか
教室の雰囲気、講師の人柄、生徒さんの声——これらは運営者本人が書く方が伝わります。コピーライターが書く綺麗な文章より、たどたどしくても自分の言葉のほうが信頼されます。文章を自分で書く前提なら、デザインだけ整える自作で十分です。
軸 3月のHP予算
自作なら月千円〜2千円(ドメイン代+サーバー代+ツール代)。外注なら月3千円〜3万円(制作会社により幅広い)。月3千円以下にしたいなら自作一択です。
軸 4法人クライアント・銀行借入の有無
法人向けの研修事業や銀行融資を受ける場合、HPは「会社の顔」として高い見栄えが求められることがあります。この場合は外注の方が安心。個人教室の集客だけなら自作で十分です。
私はこの4軸を当てはめた結果、「月数回更新したい・文章は自分で書きたい・予算は最小限・個人教室の集客」だったので、自作に切り替えました。
自作するなら:どのツールを使うか
自作するなら、いま使える主なツールは4つです。私自身が触ったことのあるものだけに絞っています。
ペライチ
教室業のHPで最も多く使われているノーコードのページ作成サービスです。テンプレートが豊富で、教室・スクール業向けのテンプレートも複数あります。月額数千円から、無料プランもあります。問い合わせフォームも標準装備で、HTMLを書かなくても完成度の高いHPが作れます。
→ ペライチを見る
WordPress
カスタマイズの自由度が高く、世界中で使われているCMSです。デザインテンプレート(テーマ)も無料・有料で大量にあります。慣れれば月千円程度で運用可能。ただし学習コストはやや高く、技術的なトラブル対応も自分でやる必要があります。
Wix / STUDIO
直感的な操作でHPが作れるサービス。ドラッグ&ドロップでデザインを組めるので、デザインを自分で詰めたい方には合います。
Notion
「とりあえずHPの形にする」だけならNotionで十分です。教室情報・料金・体験申込フォームをページにまとめ、独自ドメインを当てれば、月数百円で運用できます。デザインの自由度は低めです。
私は当初Notionで「仮のHP」を作り、その後ペライチに移行しました。Notionは「まず情報を整理する場」として、ペライチは「集客の入口」として、それぞれ役割を分けて使っています。
外注するなら:5つのチェックポイント
外注を選ぶ場合、180万円の失敗から学んだチェックポイントは5つです。
1. 教室・スクール業の制作実績を必ず確認する
「飲食店」「美容室」「不動産」の実績しかない制作会社は、教室業の集客導線を知らない可能性が高いです。教室・スクール業の事例を3件以上見せてもらいましょう。
2. 月額契約は1〜2年で見直しできるようにする
5年・3年の長期契約は、合わなかった時に逃げ場がありません。1〜2年契約にできるか必ず確認します(私はここを見落として5年契約を結びました)。
3. 写真撮影・コピーライティングが含まれるか
制作費に「写真撮影」「文章作成」が含まれるかで、トータルコストが大きく変わります。別料金になる場合、合計いくらかを必ず確認します。
4. 月次の修正回数の制限
「修正は月1回まで」のような制限は、教室業には合いません。空き枠・キャンペーンが頻繁に変わるためです。修正回数無制限、または月5回以上の枠を確保します。
5. 解約時のドメイン・データの扱い
解約時にドメインを返してもらえるか、コンテンツデータをエクスポートできるか。契約時に確認しないと、解約と同時にHP全体を失います。私はここを確認していませんでした。
失敗を避ける3つの落とし穴
私の失敗以外にも、教室業のHPでよく見る失敗パターンが3つあります。自作・外注のどちらでも当てはまります。
落とし穴1:豪華すぎて更新できない
凝ったデザインや複雑な構造のHPは、運営者が自分で更新できなくなります。月1回更新するつもりが、半年に1回も触れない。情報が古いまま放置されたHPは、検索エンジンからも評価されません。運営者が自分で更新できる範囲のシンプルさが大事です。
落とし穴2:申込ボタンが見つからない
意外と多いです。トップページに体験申込ボタンがない、スクロールしないと出てこない、文字が小さい——。HPに来た方は「申込みたいけど、どこをタップすればいいか分からない」と離脱します。ファーストビュー(最初の画面)に、わかりやすい申込ボタンを置くだけで予約率は変わります。
落とし穴3:スマホで読みづらい
教室を探す保護者の 8〜9 割は、スマホで検索します。PCで作ったHPが「スマホでは文字が小さくて読めない」「ボタンが押せない」状態のままだと、せっかくの流入を全部取りこぼします。作る側のPCで確認するだけでなく、必ず自分のスマホでチェックしましょう。
公開後にやるべき3つのこと
HPは公開して終わりではありません。公開後にやるべきことは3つです。
1. Googleビジネスプロフィールに HP URL を登録
教室を探す保護者の多くは、Googleマップから候補を見つけます。マップに自分の教室が表示された時、HPへのリンクをタップしてもらえる導線が大事です。Googleビジネスプロフィールに登録し、HPの URL を必ず入力しておきましょう。
2. Google Search Console に登録
検索で表示された回数・クリック数を計測できる無料ツールです。どんなキーワードで自分のHPにたどり着いた人がいるか、月次で確認できます。「思っていたのと違う検索ワードで来てる」と気づくと、HPの文言改善のヒントになります。
3. 月1回の更新習慣を作る
体験会のお知らせ、生徒さんのコンクール結果、季節の挨拶など、月1回でも更新があるHPは、Googleからも「動いている教室」と認識されやすくなります。カレンダーに「毎月HP更新日」を入れておくのが地味に効きます。
まとめ:判断軸を当ててみる
180万円のHP失敗を経て、教室業のHPについて私がたどり着いた結論は1つです。
教室業のHPに大事なのは「綺麗さ」より「自分で更新できる手触り」と「申込までの動線の単純さ」。
自作と外注、どちらが正解という話ではありません。あなたの教室の状況——修正頻度・文章のスタンス・予算・対外的な見栄えの必要性——から、4つの軸で判断するのが現実的です。
私は「自作」を選びました。月千円台の運用で、新規入会の約3割をHPから取れるようになりました。あなたの教室で 4 つの軸を当ててみたら、どちらが合うでしょうか。
迷ったら、まずは1ヶ月だけ Notion か無料プランの ペライチで「仮のHP」を作ってみるのがおすすめです。仮で作ってみると、本当に必要なのは何か、自分でどこまでやれるかが見えてきます。
次の一歩
読んで終わりにせず、ひとつだけ動いてみませんか。
